第8世代Intel Coreプロセッサ(Coffee Lake)向けのチップセットは、Z370、H370、Q370、B360、H310の5種類があります。
今回は、ゲーミングPCに採用例のある、Z370、H370、B360、H310チップセットについて性能比較を行います。ぜひ参考にしてください。
インテル300シリーズチップセット性能比較一覧表
チップセット | Z370 | H370 | B360 | H310 |
CPUのオーバークロックをサポート | ○ | × | ||
メモリのオーバークロックをサポート | ○ | × | ||
サポートしているメモリ | DDR4-2666/2400(CPUに依存) | |||
PCI Express リビジョン | 3.0 | 2.0 | ||
PCI Express レーンの最大数 | 24 | 20 | 12 | 6 |
USB ポート数 | 14 | 14 | 12 | 10 |
USB 3.1(3.1 Gen.2) | 0 | 4 | 4 | 0 |
USB 3.0(3.1 Gen.1) | 10 | 8 | 6 | 4 |
SATA 6.0 Gbps ポートの最大数 | 6 | 4 | ||
CPU内蔵PCI Expressレーンの構成 | 1×16 or 2×8 or 1×8+2×4 |
1×16 | 1×16 | 1×16 |
NVIDIA SLI/AMD Cross Fire | 対応 | 未対応 | ||
RAID 構成 | PCIe 0,1,5 / SATA 0,1,5,10 | 未対応 |
全般的に前世代のインテル200シリーズチップセットの仕様を引き継いでいます。
大きな違いといえば、DDR4-2666メモリに正式対応した事と、H370、B360チップセットでUSB 3.1 Gen.2(最大10Gbps)に対応した点があげられます。
Z370チップセット
インテル300シリーズでは最上位のチップセットです。
Core i7 8700K、8086K、i5 8600K、i3 8350Kといった倍率ロックフリーのCPUにおいてオーバークロックをサポートしているので、オーバークロックを行いたい場合は、Z370一択になります。
Z370は、CPU側に搭載されているPCI Express 3.0レーンを分割できるようになっているため、マルチGPU「NVIDIA SLI」「AMD Cross Fire」に対応可能となっています。グラフィックボード2枚挿しの場合もZ370の一択となります。
また、PCI Express レーンに余裕があるため、M.2 SSDソケット(PCIe3.0 x4モード)を2本備えているマザーボードがほとんどとなっています。(ちなみに、M.2 SSDソケット(PCIe3.0 x4モード)では、文字通り、PCI Express3.0レーンを4本使用します。)
Z370チップセットはUSB3.1 Gen.2(最大10Gbps)には対応してないため、Z370採用マザーボードでは、別途ASMedia等のチップを用いてUSB3.1 Gen.2ポートを用意しています。
H370チップセット
H370とZ370チップセットの大きな違いのひとつは、オーバークロックへの対応でH370は非対応となっています。
また、マルチGPU「NVIDIA SLI」「AMD Cross Fire」にも非対応となっています。
PCI Express レーン数が、Z370よりも削減されているため、M.2 SSDソケット(PCIe3.0 x4モード)を2本搭載する事が困難となっています。マザーボードによっては、M.2 SSDソケット(PCIe3.0 x4モード)は1本のみで、もう1本のM.2 SSDソケットはPCIe3.0 x2モードとなっていますので、M.2 NVMe SSDを2本搭載したい場合は要注意となります。
H370チップセットは、USB3.1 Gen.2(最大10Gbps)に標準で対応しています。
H370はZ370と比較するとかなり価格が安いため、H370チップセット搭載マザーボードのコストパフォーマンスは高くなっています。
CPUは定格で使用、グラフィックボード(ビデオカード)は1枚まで、M.2 NVMe SSDは1台までという用途では、非常におすすめのチップセットです。
B360チップセット
B360チップセットは、H370チップセットから機能を制限する事で、低価格を実現したチップセットです。
B360では、PCI Express レーン数がH370よりも削減されているため、M.2 SSDソケットを2本搭載していても、PCIe3.0 x4モード対応ソケットは1本のみとなります。あと、最大10Gbpsのデータ転送を実現するUSB 3.1 Gen2をサポートしています。
B360も、H370と同様に、コストパフォーマンスが高くなっています。
CPUは定格で使用、グラフィックボードは1枚まで、M.2 NVMe SSDは1台までという用途では、非常におすすめのチップセットとなっています。
H310チップセット
H310チップセットは、B360チップセットから大幅に性能を制限する事で、さらに低価格を実現したチップセットです。
M.2 SSDソケットが用意されていても、チップセットのPCI Express リビジョンが2.0のため、今時のM.2 NVMe SSDの性能を発揮できない状態となっています。
CPUは定格で使用、グラフィックボードは1枚まで、M.2 NVMe SSDは使用しないという用途では、おすすめのチップセットです。
H310チップセット搭載マザーボードはかなり低価格ですので、予算が少ない場合や、限られた予算をグラフィックボードなどに重点的に注ぎたい場合の選択肢として存在します。