読者のみなさん、こんにちは。今回はゲーミングPCのパーツの中でとても重要となるグラフィックカードの知識や選ぶときのおすすめポイントなどを書いていきたいと思います。
その前に少し前置きをしたいと思います。グラフィックカード各社にもロードマップ(未来の計画表)があり、新しい技術も日々研究開発されています。どんなユーザーでも最新技術を用いたグラフィックカードは魅力的に映りますが、新しいものを常に待っていては、なかなか購入に踏み切ることができません。また新しいものは高価でもあるということも覚えておく必要があります。価格が下がるのを待っていると、また新しいグラフィックカードの情報が入ってきて購入できずにいる・・・という悪循環が起こります。
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先のことを考えすぎてはいけません、買いたいと思った時が購入時期であるということです。
なお筆者は、今年の元旦にオンラインゲーム上で年を越して「あけましておめでとう」シャウトを聞いた瞬間(新年になって1分もたたない内)に「今年nVidiaのGPU(3Dグラフィックスの表示に必要な処理を行うチップ)の製造プロセスが世代交代するな、待ってたぜ・・・ムフフ(変態ではありません)」と思った事実は決してありません。
nVidiaとAMD
恐らく初心者の方以外は知っているかと思いますがグラフィックカードといえば、nVidia社のGeforceシリーズとAMD社のRADEONシリーズで性能を競い合っています。AMD社はCPUでもおなじみの会社ですね。もともとATIというカナダの会社がRADEONシリーズを作っていたのですが2006年にAMDが買収して今にいたっています。グラフィックカードの性能については後述する項目で書いてみたいと思います。
PCI Express 3.0 ×16
ロシアの秘密基地で冬眠カプセルに入っていた方以外は「AGPスロット(旧グラフィックカードのスロット)にグラボをさすんだろ」なんて言わないとは思いますが、現在のグラフィックカードはマザーボードのPCI Express 3.0×16スロットへ差し込みます。速度やレーン数の説明は書いても頭に残らないと思いますので省略しますが「PCI Express 3.0 ×16」という名前と、そのスロットにグラフィックカードを搭載する、ということだけ覚えておいてください。
DirectX
DirectXという言葉をよく耳にしますがどんなものなのか理解している方は少ないと思います。wikiで調べると「Microsoft DirectX(ダイレクトエックス)は、マイクロソフトが開発したゲーム・マルチメディア処理用のAPIの集合である。」と書いてあります。ニコニコ大百科だと「DirectXとは、Microsoft(マイクロソフト)社が開発・提供しているゲームなどのマルチメディア向けAPIセットである。」と書いてあります。恐らくこれらの文章を読んでも初心者の方には、さっぱり意味不明だと思います。
APIは理解しにくいので省略しようと思いましたが、解説しなかったことにより記事の連載を打ち切られると、Pascal(パスカル:アライグマや数学者の名前ではありません。nVidiaの次期GPUアーキテクチャ)が遠のいてしまいますので荒削りに解説します。APIとは「ソフトウェアの機能を、他のソフトウェアから簡単に利用できるよう機能の呼び出しやデータの受け渡しなどの手順を定めた仕様」です。
簡単に説明するとWindowsがあまり得意とはいえないゲームに手を出すために使っている万国共通のチートコードが書かれた辞書みたいなものです(筆者の妄想的かつ個人的感覚であり抗議は受け付けません)。
WindowsにDirectXを組み込むことでゲームのグラフィックや効果音などの処理を快適にすることができます。またDirectXのバージョンの数字が上がっていけばいくほど立体感や描写表現が豊かになったりします。
nVidiaとAMDとDirectX
はっきり言えばDirectX 11以下のオンラインゲームに関してはパフォーマンス的にも消費電力的にもAMDよりnVidiaが勝っているといえます。これはnVidiaが、オンラインゲームの開発段階から関わっていることがあるのもひとつの要因です。またシェアもnVidiaがAMDを圧倒しています。しかしながらAMDもがんばっている面はあります。DirectX 12環境においてはAMDの方が優位な様相を呈してきました。これはAMDが提供しているグラフィックスドライバ(Radeon Software)において性能向上を図ったり、早くから「Mantle(マントル:AMDが独自に整備したグラフィックスAPI)」の開発を進めながら作り上げてきたGraphics Core Nextアーキテクチャが、DirectX 12の設計仕様に相性がいいGPUデザインになっていることで効果が出ているのです。
しかし難しい問題があります。もし読者諸君のプレイしたいゲームがDirectX 11対応でDirectX 11で優秀なnVidiaのGeforceシリーズかDirectX 12で優秀なAMDのRADEONシリーズかを選ぶならどちらを選びますか?何!?どちらも買う!?そう答えた方は相当筆者の記事を毎回くまなく読んでいる筆者の思考回路を理解しているファンの方ではないでしょうか。
一般的にはやはりプレイしたいゲームの環境に合わせてDirectX 11で優秀なnVidiaのGeforceシリーズを購入すると思います。つまり問題はDirectX 12対応のビッグタイトルのオンラインゲームが、この先そんなに簡単には出てこないのではないかということです。筆者はファイナルファンタジーXIV(以下FF14)のプレイヤーで、メインPCのグラフィックカードはnVidiaのGeforce GTX970を積んでいます。FF14でさえ去年の拡張パックでやっとDirectX 11に対応したくらいでDirectX 11のビッグタイトルさえ少ないのが現状です。DirectX 11環境であれば前述したようにnVidiaが圧勝しています。そのため、nVidiaのGeforceシリーズからAMDのRADEONシリーズに買い換える必要性がいまのところ無いのが実情なのです。
主なグフィックカードの性能
それではDirectX 11で優位なGeforceシリーズの具体的な性能を紹介する前にお勉強タイムです。
グラフィックカードやCPUの詳細を見ていると「TDP」という言葉が出てきます。このTDPとは東京ディズニーパレードではありません。またTDPのあとW(ワット)で数字が書かれていますがTDPとは消費電力ではありません。TDPとは設計上の最大発熱量のことです。
それでは、以下にゲーミングPCに選択されやすいグラフィックカードを紹介いたします。なお、ベンチマーク結果は環境や製品によっても変化しますので参考程度に考えてください(FF14蒼天ベンチマーク結果7000以上が「 非常に快適」という評価となります)。
製品名 | コアクロック | メモリクロック | メモリバス幅 | TDP | FF14蒼天ベンチ |
---|---|---|---|---|---|
Geforce GTX980 Ti | 1126MHz | 7010MHz | 384bit | 250W | 15440 |
Geforce GTX970 | 1050MHz | 7000MHz | 256bit | 145W | 11601 |
Geforce GTX960 | 1126MHz | 7010MHz | 128bit | 120W | 7005 |
Geforce GTX750 Ti | 1020MHz | 5400MHz | 128bit | 250W | 4507 |
※ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク設定:DX11 最高品質 1920×1080 フルスクリーン CPU i7-4790K
なお筆者のサブPCのグラフィックカードはRadeon R9-285を積んでおり性能は以下でした。
製品名 | コアクロック | メモリクロック | メモリバス幅 | TDP | FF14蒼天ベンチスコア |
---|---|---|---|---|---|
R9-285 | 918MHz | 5500MHz | 256bit | 190W | 6995 |
まとめ
やはり現時点で買うならDirectX 11以下が優秀なGeforce系となってしまいます。個人的にはGeforce GTX970が一押しです。970では予算オーバーだという方は、同じく消費電力に優れたGeforce GTX960でもかまいません。しかしこの記事を読んで、ハイエンドグラフィックカード至上主義者になってGeforce GTX980Tiを積んでオンラインゲームで「スーパー廃ヤ人」となっても責任は負えません。くれぐれも健康に気をつけながらプレイしてください。
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